スター・トレック

奥田誠治

販売元:パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
販売元:パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン

 これは面白い!! 見て損はない。俊英監督、J・J・エイブラムス(『ロスト』『クローバーフィールド/HAKAISHA』)がリ・イマジネーションしたという、この作品はほとんど隙がなく構築され、まさに新しい『スター・トレック』を描き上げている。

 40年続いたシリーズが分析され必要な要素は全て取り入れられ、古いファンをくすぐるセリフも怠りない。2時間を超える時間を全く感じさせないスピード感、意表を突く展開、ヒーロー達の自己犠牲、戦闘のカタルシス、 全てが満足出来る。

 

 これからは個人的趣味:J・J・エイブラムスは最新TVシリーズの洗礼を受けた監督。私が最新TVシリーズに感じるのは日本の良くできたアニメ作品の絵コンテだ。日本のアニメシリーズは20+分のフォーマットの中にはみ出るほどにエピソードを詰め込みギャグもサービスもギュウギュウに詰め込む。これはTV放映45年間の宿命だった。その中で進化を遂げたのが“ジャパニメーション”だと言える。だがそれも最近では違う傾向が現われつつある。静寂の緊張を取り入れ物語にメリハリをつける手法だ。(もっともこれはは良い解釈で、枚数制限の結果とも言える作品も多い)
 米最新TVシリーズ(ロスト/24 -TWENTY FOUR-/CSI:など)時間いっぱいに情報を詰め込んだ作品がいつまで主流で居られるのか興味深い。

 

 もう一つ。スター・トレックは世代交代の作品だ。古いスター・トレックから新しいスター・トレックへ。そしてファン層も新世代へ。
 艦隊組織の上下関係の希薄さ、アメリカ人ティーンエイジャーの青春ドラマ。これは「トランスフォーマー」にも定番のように挿入されていたが私には共感しかねる青春だ。そして、かなり自己チューな主人公の性格。(これは前作もそうだが世代的に違う感じがする)この辺りを境にノスタルジックな「スター・トレック」から、最新の「スター・トレック」への世代交代があるのではないかと考える。

 

 宣伝文の中に(この40年に及ぶ人気作品のファンたちは、スター・トレックの最新作を見に行くだろうか? Abrams監督による新作を見た後で、どんな感想を持つだろうか?)と、あったが、この言葉がこの作品を端的に表している。

 

 最後に。技術開発より金融にシフトしているアメリカ経済の未来に、『スター・トレック』の飛行する未来はあるのだろうか? また、ホワイトカラーがブルーカラーを支配する日本にも宇宙的未来は存在しない気がする。

作品データ

【スタッフ】監督: J・J・エイブラムス 原作: ジーン・ロッデンベリー 脚本: ロベルト・オーチー、 アレックス・カーツマン
【キャスト】クリス・パイン ザカリー・クイント エリック・バナ ウィノナ・ライダー レナード・ニモイ

 

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著者プロフィール

奥田誠治(おくだせいじ)

 1943年生まれ、東京都出身。数多くのアニメの絵コンテを描き、その本数は日本最多を誇っている。アニメの監督としても活躍。監督作品には『ドリームハンター麗夢』『超獣機神ダンクーガ』等がある。